修繕積立金ガイドライン改定から考える、値上げを先送りしない理事会

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この記事で取り上げるトピック
国土交通省が2024年6月7日に公表した「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」および「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の改定を取り上げます。国土交通省は、マンションの長寿命化に向けて適時適切に大規模修繕工事を行うためには、修繕積立金を安定的に確保することが重要だとしています。

参照先URL
https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000204.html
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001747009.pdf

修繕積立金の値上げは、なぜ避けにくいのか

修繕積立金の値上げは、理事会にとって非常に重いテーマです。

住民に負担をお願いする話なので、できれば先送りしたい。
自分が理事の任期中には扱いたくない。
そう感じるのは自然なことです。

しかし、国土交通省のガイドライン改定を見ると、修繕積立金の問題は、これからますます先送りしにくくなると考えられます。

注目したいのは段階増額積立方式

今回の改定で特に注目したいのが、段階増額積立方式への考え方です。

段階増額積立方式とは、当初の修繕積立金を低めに設定し、年数が経つにつれて段階的に上げていく方法です。新築分譲時には月額負担が軽く見えるため、採用されることがあります。

国土交通省は、修繕積立金の積立方式には、計画期間中の積立額を均等とする「均等積立方式」と、当初の積立額を抑えて段階的に増額する「段階増額積立方式」があると説明しています。そのうえで、将来にわたって安定的に修繕積立金を確保する観点からは、均等積立方式が望ましいとしています。

一方で、段階増額積立方式では、予定通りに引き上げられず、修繕積立金の不足につながるおそれがあるとも説明されています。

さらに、段階増額積立方式における適切な引上げの考え方として、均等積立方式とした場合の月額を基準額とし、計画の初期額は基準額の0.6倍以上、計画の最終額は基準額の1.1倍以内とする考え方が示されています。

今安いことは、本当にやさしいのか

ここで理事会が考えたいのは、今の積立金が安いことは、本当に住民にやさしいのかという点です。

一見すると、毎月の負担が低い方が住民には喜ばれます。
しかし、必要な修繕費が積み立てられていなければ、将来どこかで大きな値上げや一時金が必要になる可能性があります。

つまり、今安く見えることが、将来の住民にとって重い負担になることがあります。

理事会として、まず確認したいのは次の点です。

  • 長期修繕計画は、最近の工事費に合わせて見直されているか。
  • 修繕積立金の方式は、均等積立方式か、段階増額積立方式か。
  • 段階増額の場合、今後の値上げ予定は現実的か。
  • 計画上の残高と、実際の積立残高に差はないか。
  • 大規模修繕だけでなく、給排水管、エレベーター、機械式駐車場などの設備更新も見込まれているか。

値上げではなく、見える化から始める

値上げの説明で大切なのは、「お金が足りないので上げます」とだけ言わないことです。
それでは住民に不安や不信感が残ります。

必要なのは、なぜ今見直すのか、先送りすると何が困るのか、どの程度なら現実的なのかを、資料で見えるようにすることです。

修繕積立金の値上げは、理事会が住民に負担を押しつける話ではありません。
マンションを長く使い続けるために、必要な費用をどう平準化するかという話です。

「あしたの理事会」としては、修繕積立金の問題を、怖い話として扱うのではなく、早めに見える化すれば、将来の負担を軽くできる話として伝えたいところです。

理事会がすべてを抱え込む必要はありません。
ただし、管理会社や専門家から出された長期修繕計画をそのまま受け取るだけではなく、今の積立方式が将来の住民に無理を残していないかを確認することが大切です。